一般人の名言集
成功は次の成功への呼び水とせよ。失敗は次の成功への足がかりとせよ。この二つの相反する格言は、アフターケアの大切さを指摘している点で、共通の真理なのである
土光敏夫
物事を成就させる力は何か、その力の中にはむろん能力があろう。だが能力は必要な条件であっても十分な条件ではない。十分な条件とは、その能力に、機動力、粘着力、浸透力、持続力などを与える力である。そのような諸力を私は執念と呼びたい
どんな人にも長所と短所が必ずある。ところがサラリーマンの会話を聞いていると、短所をあげつらう減点主義が横行している。これでは人の心を腐食するばかりで職場の活力も失われてしまう
やるべきことが決まったならば執念をもってとことんまで押し進めよ。問題は能力ではなく執念の欠如である
価値観というものは、時代とともに変わっていくのが当たり前だ。それでなきゃ、歴史は生まれない。仲間のご老体たちが「このごろは価値観が違って困る」とこぼしているが、そんなことは当然のことなんです。僕らの世代だって個人によって価値観は違うのだし、価値観が一緒になったら、それは独裁国家ですよ
大きな事業でも小さな仕事でも、一つの失敗がそれだけで命取りになることがある。その失敗にくじけ、しっぽを巻いてしまうからだ。一回限りの失敗は、実はまだ失敗とは限らぬ。肝心なことは、ところんまで失敗の原因を見極め、同じ失敗を二度と繰り返さないことだ。そうすると失敗は成功の母となる
私どもの東芝では、上位者ほど早く出勤するという習慣がすでに定着している。私に言わせれば、当然のことといえる。上位者ほど忙しいはずである。その日の準備段取りは、部下が来る前に済ませておかねばならぬはずである。格別の美談でもなんでもなく、先進国のエグゼクティブやマネジャーがとっくに実行していることなのだ。そんな上司の姿を見て部下たちも変わってきた。古い言葉だが率先垂範こそ、人が人に向かう基本原理だと信ずる
リスクの大きさと利益の大きさは比例するものだ。リスクが小さければ、誰もがその機会を追及するから、利益も小さい。逆にリスクが大きければ、得られる利益は大きい。利益とは、リスクに対する対価だと言わねばならぬ
上司へのリーダーシップをうまく取れない人が、どうして部下へのリーダーシップをうまくこなすことができようか。上へのリーダーシップといえば、奇矯というかもしれぬ。しかし我が国では、あまりにも上下の差別が強すぎると思う。たしかに、年齢や勤続年数や賃金では上下の差がある。だが一人一人が担う職能は、横に並んでいると考えたい。横に並んで切磋琢磨するのである。このように考えれば、リーダーシップは上へ向かっても発揮されなければならない
相互信頼を本物にするため、まず自分が他から信頼される人になる。信頼される人になるためには、どのような行動基準が求められるのか。この五カ条はわかりきったことかもしれない。しかしわかりきったことが、なかなか行えないのである。 一、相手の立場になって物を考える 一、約束をきちんと守る 一、言うことと行うことを一致させる 一、結果をこまめに連絡する 一、相手 のミスを積極的にカバーする
少数精鋭という言葉がある。この言葉には二つの意味がある。一つは「精鋭を少数使う」ということである。そしてもう一つは「少数にすれば皆が精鋭になりうる」ということである。私は後者の意味を重視したい。前者だとすでに出来上がった精鋭を自分の手元に集めるということで、虫がよすぎるというものだ。後者では今自分の手元にいる玉石混交の人々を、玉にはますます磨きをかけ、石にはトレーニングによって玉に変えていこうということで全員の能力を底上げすることを意図している
物事を成 就させる力は何か、その力の中にはむろん能力があろう。だが能力は必要な条件であっても十分な条件ではない。十分な条件とは、その能力に、機動力、粘着力、浸透力、持続力などを与える力である。そのような諸力を私は執念と呼びたい
(社長秘書課長への言葉)キミがオレの秘書課長をやっていると、いろいろ周りからのやっかみや悪口が多くなるだろう。しかし、ガタガタすることはない。オレはいかなるときでも、キミを信じているからな
永野重雄
宮城の石垣を見てごらんなさい。大きく立派な石ばかりではありません。小石や形の悪 いものなど、いろいろなものが混じってはじめて、ああいう美しい石垣ができるのです。会社も同様で、秀才ばかり採用していたら、会社はたちまち行き詰まってしまいます。本当に会社で欲しい人材は、秀才よりも、むしろ平凡な人たちなのです
いい商品は、必ず世の中は気がつく。それまでの辛抱だ
(広畑製鉄所を)取れなかったら腹を切る。日本経済の将来のため、製鉄業を外国資本に任せられるか
人は後ろから声をかけられると、相手に親しみを憶えるものらしい
私は、経営というのは簡単で一時的に相手の信頼を得たりするような便利な言葉を使っても、これは永い目で見ると押し通せるものではありません。やはり、永い時間に耐えるものは「真実」、「誠実」これにつきますね
ロビンソン・クルーソーのように一人島で暮らす場合、せいぜい魚を何匹釣ったといった程度ですが、社会というのは人間の集団です。その人間の集団の中で仕事をしようとすれば、大勢の仲間が協力して初めて5倍、10倍の力になる。その原動力はともに心の通い合う人間の「友愛」なんですね。いまご紹介があったように、私が引き受けた会社は、第一次大戦で破産した会社ですからね。社員は13名。文字通りの中小企業なんですよ
昔はこの人間社会に特別な秘訣がありませんでしたね。自己をあるがままにさらけ出し、相互に信頼を勝ち取る。あとは各論の問題ですからね
人間というのはお互いを知ることから始まるんですね。企業でも人間の集団ですから同じなんです。ただ、これが千人、万人になってくると、なかなか記憶できない。ところが、300人ぐらいだと、だいたい覚えられるんですよ。この社員は甘党か辛党か、家族構成はどうかとかね。社員の方も、親近感が出てくるんですよ
やはり、人間同士を知るというのは、300人以下ですね。いまさら、軍隊の話もなんですが、例をとりますと、中隊単位です。隊長がおやじであとは家族 、この範囲だと一人ひとりの気分までわかる。趣味から家族とか親戚を含めてね……。この範囲なら単位が固いからその単位を集めていけば、これが300倍になっても強いのです
事業を成り立たせる秘訣は、結局、人間の信頼と企業力なんですね
不況を望むものではないし、いま痛い目にあっているが、(昭和)47、8年頃までの有頂天な状態が続いていたら日本は英国病にかかっていたでしょうね。米国もそうなんですが、やはり次の大きな抵抗力がなくなるから、その時の打撃は非常に大きい。その意味で、いまは引き締めの時な んですね。これは、次の時代にとってはいいことかもしれませんね
欧州欧州連合(EU)が誕生したように、「世界一国論」を訴える
(ロバート・シューマン博士・後の首相について)シューマンはフランスではナポレオン以上の英雄
世界一国論 ー これはシューマン・プランを拡大したもの。全世界が無関税になれば、農産物、工業製品、なんでも安く輸出入できるから、人類にとってこんなに幸福なことはない。それでも貧乏な国には、豊かな国が援助すれば済む
私ほど中小企業を理解している財界人は少ないと自負している。体験的に零細・中小企業者の心がわかるからで、『日本経済石垣論』である
ちょうど日本経済の縮図である。大石が大企業であり、中、小の石が無数の中小、零細企業である。中小企業は日本経済の旗手であって相互に支え、補完、調和する日本経済の礎石でもある。日本経済も、格好のいい企業や大、中企業だけならばバランスが崩れて第一次オイル・ショックや不況の衝撃で崩壊してしまい世界第二位のGNPを誇る工業国になれなかった
私の信条 ー (師・松永安左衛門が書いたもの)孤高に陥らず 孤独を恐れず
僕の長い人生でも、富士・八幡両製鉄の合併は、まさに心命を賭した大仕 事だったな
直線的に昇進せず、停滞したり、逆行したり、左遷させられた経験が大いに役立った
若いうちの苦労は年取って花開く、左遷を栄転に逆転する
九州に左遷されるといっても、あの不夜逃げの苦しみと比べたら楽なもの
(夜逃げの体験について)私の生涯で一番勉強になったのがこの時期です
小さな租織に入って門前の小僧で何でもやったことが、どんなに役に立ったかわかりません
君は夜逃げをしたことがあるか、社員の給料が払えず夜逃げをした人生体験がバネになる
いま思い出しても身の縮む思いがする。もう破産よりないというところまで、何度いったかわからない
人生にはプラス、マイナスの波がある。気持ちのスイッチでマイナスをプラスに変えなくては人生の落伍者になる
(広畑製鉄所争奪戦での言葉)取れなければ腹を切る
いく度か出会った危機・困難を結局切り抜け得たのは闘志のおかげだ
男一匹、相手を殴るような気迫がなければいい仕事はできない
人間は夢を持たねばならないが、それを実現すべく努力しなけ ればならぬ
日本の産業は今、これまでの一国経済から世界経済へと移行しつつあり、日本の企業はそのために体質改善を好むと好まざるとに関わらずしなければならない。紙しかり、自動車しかり、金融またしかり。今その口を鉄(製鉄業)が切ろうとしているのである
ついに夜逃げするよりなくなった。話には聞いていたが、こんなにたまらないものかと、身に染みて知らされた
独りよがりになるな。しかし、いったん信じたことは反対を恐れず思い切ってやれ
私の悪口はすぐに報告しなさい。しかし、言った人の名は言わないでください
会社でお茶飲んで話すだけなら、お互いに相手を理解し合うまでに一年かかる。酒の付き合いなら一ヶ月だ
タテ糸とヨコ糸がしっかりからみ合って、はじめて強い組織が出来上がるように、企業組織も、タテの関係のほかに緊密なヨコの連繋が必要である
仕 事をしてゆくうえで、感謝の気持ちほど貴いものはない
あまり秀才ばかり新日鉄に入れると、新日鉄の組織は弱体化し、バイタリティがなくなってしまう
企業はつぶれてはなんにもならない。不況になったら対策を考えるのは当然だ。民族には千年、万年の将来があるのだから、経営者はつねに新しい技術と設備が次の経営力をつくることを念頭におかねばならない
可能性に賭けてみようということを端からない人は何を言ってもムダ
丸尾孝俊
自分の時間を人に費やしてみようよ