一人の悪に依りて万人苦しむ事あり。しかるに、一人の悪をころして万人をいかす。是等誠に、人をころす刀は、人を生かすつるぎなるべきにや
柳生宗矩
心の良知、これを聖と謂う。聖人の学はただこれこの良知を致すのみ。自然にしてこれを致す者は、聖人なり。勉然としてこれを致す者は、賢人なり。自ら蔽われ自ら昧くして、敢てこれを致さざる者は、愚不肖の者なり
王陽明
心は即ち理なり。天下にまた心外の事、心外の理有らんや。ただ心の人欲を去り、天理を存する上にありて功を用ひれば便ち是なり
神の罰は祈りてもまぬるべし。主君の罰は詫言して謝すべし。ただ臣下百姓にうとまれては必ず国を失う。ゆえに祈りても詫言してもその罰はまぬかれがたし。ゆえに神の罰、主君の罰より臣下万民の罰はもっとも恐れるべし
黒田官兵衛
御経もいま少しなり。読み果つるほどは、死したりとも、われを守護せよ
源義経
無理をして戦(いくさ)をするな。幼き帝(みかど) を守れ。恐るべきは鎌倉の頼朝率いる源氏軍と都の後白河法皇ぞ
平清盛
第一流の人物というのは、少々、馬鹿にみえる。少々どころか、凡人の眼からみれば大馬鹿の間ぬけにみえるときがある。そのくせ、接する者になにか強い印象をのこす
司馬遼太郎
人間に本来、上下はない。浮世の位階というのは泰平の世の飾りものである。天下が乱れてくれば、ぺこぺこ剥げるものだ。をなさんとすれば智と勇と仁を蓄えねばならぬ
坂本龍馬
勝(かつ)といふは、味方に勝事也。味方に勝といふは、我に勝事也。我に勝といふは、気を以(もって)、体(たい)に勝事也
山本常朝
世に教訓をする人は多し、教訓を悦ぶ人はすくなし。まして教訓に従ふ人は稀(まれ)なり。年三十も越したる者は、教訓する人もなし。教訓の道ふさがりて、我儘(わがまま)なる故、一生非を重ね、愚を増して、すたるなり
若き内に立身して御用に立つは、のうぢなきものなり。発明の生れつきにても、器量熟せず、人も請け取らぬなり。五十ばかりより、そろそろ仕上げたるがよきなり。その内は諸人の目に立身遅きと思ふ程なるが、のうぢあるなり
無刀とて、必ずしも人の刀をとらずしてかなはぬと云ふ儀にあらず。又刀を取りて見せて、是を名誉にせんにてもなし。わが刀なき時、人にきられじとの無刀也
刀二つにてつかふ兵法は、負くるも一人、勝つも一人のみ也。是はいとちいさき兵法也。勝負ともに、其得失僅か也。一人勝ちて天下かち、一人負けて天下まく、是大なる兵法也
人を用うるの法、大才能の人は始めより大任重職を命ず。しかしてその人また自ら奮励し、大いにその忠思をのぶること、なお時雨(しぐれ)の化(か)するがごとし。もし大才能の人を些事賤役(些細なつまらない仕事)に役使すれば、その人必ず厭怠(えんたい)してこれが用たらず
吉田松陰
敵が弱いように、敵が衰えるようにと思うのは、皆、愚痴もはなはだしい。自分に勢いがあれば、どうして敵の勢いを恐れようか。自分が強ければ、どうして敵の強さを恐れようか
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