恋の至極は忍恋と見立て候。蓬ひてからは恋のたけが低し、一生忍んで思ひ死(じに)する事こそ恋の本意なれ
山本常朝
自 分だけの問題なの。ありふれる愛を人から与えてもらおうと思っても、それは無理
岡本敏子
釣りはままならないものである。むろん、だからこそ、男は今日もまた竿を肩に、家を出て河へ、海へと向かうのだけれど、男にとって人生そのまま、遊びもまた……
開高健
世に処するには、どんな難事に出会っても臆病ではいけない。「さあ、なにほどでも来い。おれの身体がねじれるならばねじってみろ」という料簡で事をさばいてゆくときは、難時が到来すればするほどおもしろ味がついてきて、物事は造作もなく落着してしまうものだ
勝海舟
ぼくらは謙虚でなくちゃいけない。静かな生活の美しさを知るべきだよ。「運命」の目にさえも気づかれないで、そっと人知れぬ一生を終えるべきなんだ
サマセット・モーム
あらゆる事象は心の反映である。したがって純粋な心でひたすら念じ続ければ、たいがいのことは成就する
稲盛和夫
真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。汝の現今に播く種はやがて汝の収むべき未来となって現わるべし
夏目漱石
今どきの奉公人を見るに、いかう低い眼の着け所なり。スリの目遣ひの様なり。大かた身のための欲得か、利発だてか、又は少し魂の落ち着きたる様なれば、身構えをするばかりなり
少し眼見え候者は、我が長(た)けを知り、非を 知りたると思ふゆゑ、猶(なほ)々自慢になるものなり。実に我が長け、我が非を知る事成り難きものの由。海音(かいおん)和尚御咄(おんはなし)なり
人間一生誠に纔(わづか)の事なり。好いた事をして暮すべきなり。夢の間の世の中に、すかぬ事ばかりして苦を見て暮すは愚(おろか)なることなり。この事は、悪しく聞いては害になる事故、若き衆などへ終に語らぬ奥の手なり。我は寝る事が好きなり。今の境界相応に、いよいよ禁足して、寝て暮すべしと思ふなり
酒盛の様子はいこうあるべき事なり。心を附けてみるに、大 方飲むばかりなり。酒というものは、打ち上がり綺麗にてこそ酒にてあれ、気が附かねばいやしく見ゆるなり。大方、人の心入れ、たけだけも見ゆるものなり。公界物なり
若し図にはづれて生きたらば、腰抜けなりとて、世の物笑ひの種となるなり。此のさかひ、まことに危し。図にはづれて死にたらば、犬死気違ひとよばるれども、腰抜けにくらぶれば、恥辱にはならず。是れが武道に於いてまづ丈夫なり
凡そ二つ一つの場合に、早く死ぬかたに片付くばかりなり。別に仔細なし。胸すわりて進むなり
青年はすべからく素直たるべし。壮年はすべからく狸芸にでるべし。老人はすべからく、いよいよ横着に構えて、憎まれることを覚悟すべし
石坂泰三
功立ち名顕るるにしたがい、いつしか自らを愛する心起こり、恐懼戒慎の意、緩み、驕矜の気、しばらく長じ、その成し得たる事業をたのみ、いやしくも我が事をし遂げんとまずき仕事に陥り、終に敗るるものにて、みな自ら招くなり。ゆえに己に勝ちて、見 ず聞かざるところに戒慎するものなり
西郷隆盛
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