泉鏡花の名言集
実に嬰児の目を見るときばかりは、人間はみな清く美しい星の化身とうなずかれる
泉鏡花
すると、さも嬉しそうに莞爾(にっこり)してその時だけは初々しゅう年紀(とし)も七ツ八ツ若やぐばかり、処女(きむすめ)の羞(はじ)を含んで下を向いた
一寸々々(ちょいちょい)と櫛を入れて、「まあ、女がこんなお転婆をいたしまして、川へ落(おっ)こちたらどうしましょう。川下へ流れて出ましたら、村里の者が何といって見ましょうね。」「白桃の花だと思います。」と沸(ふ)と心付いて何の気もなしにいうと、顔が合うた
手をあげて黒髪をおさえながら脇の下を手拭でぐいと拭き、あとを両手で絞りながら立った姿、唯これ雪のようなのをかかる霊水で清めた、こういう女の汗は薄紅(うすくれない)になって流れよう
婦人(おんな) は何時(いつ)かもう米を精(しら)げ果はてて、衣紋(えもん)の乱れた、乳の端もほの見ゆる、膨(ふく)らかな胸を反して立った、鼻高く口を結んで目を恍惚と上を向いて頂を仰いだが、月はなほ半腹(はんぷく)のその累々たる巌(いわお)を照らすばかり
要するにお化けは私の感情の具現化だ
予は目撃せり。日本軍の中には赤十字の義務を完うして、敵より感謝状を送られたる国賊あり。しかれどもまた敵愾心のために清国(てきこく)の病婦を捉えて、犯し辱めたる愛国の車夫あり
自分の職務上病傷兵を救護するには、敵だの、味方だの、日本だの、清国だのといふ、左様な名称も区別もないです。唯病傷兵のあるばかりで、その他には何にもないです
私が言った唯一言(人のおもちゃになるな。)と言ったを、命がけで守っている。……可愛い娘に会ったのが一生の 思い出だ
その時の二人が状(さま)、あたかも二人の身辺には、天なく、地なく、社会なく、全く人なきがごとくなりし
完全なる愛は『無我』のまたの名なり
凡(およそ)世の中に、我が児の事を饒舌(しゃべ)る奴を聞くほど、退屈なものはない
およそ世の中に、家のために、女の子を親勝手に縁付けるほど惨(むご)たらしい事はない
一草一木の裡、或は鬼神力宿り、或は観音力宿る
人間よくなるも悪くなるも一寸の間だ
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